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研究倫理基準

2007年2月17日制定

前文

学術研究が公共の福祉の増進に寄与し、持続的な進展を維持するためには、研究の自由が保障される一方で、研究者には自らを律する高度な倫理的規範が求められる。学術研究団体は、その学術研究が社会から負託された公共的・公益的な知的生産活動である限り、研究成果のみならず、研究活動すべての過程における行為に責任を負わねばならない。 日本比較文化学会は、諸文化の比較及び比較研究の方法論に基づく諸学問分野の研究を促進し、多文化間の理解と交流及び学際的な学術の発展と交流を企図して設立されたものである。その学術研究活動が社会から相応の信頼と尊敬を得るべく、あらゆる努力を傾注することをここに宣言する。

目的

第1条 日本比較文化学会は、本学会の学術研究の信頼性と公正性を確保することを目的とし、研究を遂行する上で求められる研究者の行動・態度の倫理的規準をここに定める。

研究の基本

第2条 研究者は、自らの良心と信念に従って、自己の責任で研究を遂行し、不当な圧力等により研究成果の客観性を歪めることがあってはならない。 2 研究者は、個人の尊厳を重んじ、基本的人権を尊重しなければならない。 3 研究者は、国際的に認められた規範・規約及び条約等、国内の法令・告示等並びに本学会の諸規程を遵守しなければならない。

定義

第3条 「研究者」とは、本学会員として研究活動に従事する者を指し、学生であっても、研究に関わるときは「研究者」に準ずるものとする。 2 「研究」とは、研究計画の立案、計画の実施、成果の発表・評価にいたるすべての過程における行為、決定及びそれに付随するすべての事項を含むものとする。 3 「発表」とは、自己の研究に係る新たな知見・発見または専門的知見の公表に関わるすべての行為を含むものとする。

研究者の態度

第4条 研究者は、自己の専門研究が包含する範囲を自覚する一方で、他の専門研究分野を尊重する態度を持たねばならない。 2 研究者は、他の国・地域・組織等の研究活動における、文化・慣習・規範等の理解に 努めなければばらない。 3 研究者は、共同研究者が対等なパートナーであることを理解し、お互いの学問的立場を尊重しなければならない。 4 研究者は、学生が共に研究活動に関わるときは、学生が不利益を蒙らないよう十分に配慮をしなければならない。 5 研究者は資料・情報・データなどの提供を受ける際、研究協力者に対する謝意と、その立場に対する配慮を欠いてはならない。

研究のための情報・データ等の収集

第5条 研究者は、科学的かつ一般的に妥当な方法や手段によって、研究のための資料・情報・データ等を収集しなければならない。 2 研究者が研究のために資料・情報・データ等を収集する場合は、その目的に適う必要な範囲において収集するよう努めなければならない。

インフォームド・コンセント

第6条 研究者が人の行動・環境・心身等に関する個人の資料・情報・データ等の提供を受けて研究を行う場合は、提供者に対してその目的・収集方法等についてわかり易く説 明し、提供者から明確な同意を得なければならない。 2 組織や団体等から当該の資料・情報・データ等の提供を受ける場合も、前項に準じるものとする。

個人情報の保護

第7条 研究者は、プライバシー保護の重要性に鑑み、研究のために収集した資料・情報・ データ等で、個人を特定できるものは、該当者の承諾なしにこれを他に洩らしてはならない。当学会を退会した後も、同様とする。

情報・データ等の利用及び管理

第8条 研究者は、研究のために収集または生成した資料・情報・データ等の滅失・漏洩・  改ざん等を防ぐために、適切な措置を講じなければならない。 2 研究者は、研究のために収集または生成した資料・情報・データ等を一定期間保存・保管しなければならない。ただし、法令または規程等に保存期間の定めのある場合はそれに遵うものとする。

機器、薬品・材料等の安全管理

第9条 研究者が、研究実験において研究装置・機器等及び薬品・材料等を用いるときは、関係取扱規程や要領等を遵守し、その安全管理に努めなければならない。 2 研究者は、研究の過程で生じた残渣物、使用済みの薬品・材料等について、責任をもってその最終処理に当たらねばならない。

研究成果発表の規準

第10条 研究者は、研究成果を広く社会に還元するため、適当な方法によって発表しなければならない。 2 研究成果は、学問的誠実性と論理的忠実性によって導かれた、新たな知見・発見であることに鑑み、研究者は、他者の成果を自己の成果と混同してはならない。 3 研究者は、研究成果の発表に際しては、先行研究を精査し、かつ、尊重するとともに、 他者の知的財産を侵害してはならない。 4 研究者は、研究成果の発表における不正な行為が学会及び学会員に対する社会の信頼性を喪失させる行為であることを十分に自覚し、次に掲げる不正な行為は、絶対にこれを行ってはならない。  (1) 捏造(存在しないデータの作成)  (2) 改ざん(データの変造・偽造)  (3) 盗用(他人のデータや研究成果等を適切な引用なしで使用) 5 研究発表における不適切な引用、引用の不正確さ・不備、誇大な表現、自己都合による誤解を招く表現等は、不正行為と見なされることを十分に認識し、研究者は、適切な引用、誤解を招かない完全な引用、そして真摯な表現を心がけなければならない。

オーサーシップの規準

第11条 研究者は、研究活動に実質的に関与し、研究内容に責任を有し、かつ、研究成果 の創意性に十分な貢献をしたと認められる場合に、適切なオーサーシップが認められ る。

他者の業績評価

第12条 研究者が、論文査読・業績審査等の委嘱を受けて、他者の研究業績の評価に関わるときは、被評価者に対して予断を持つことなく、評価基準・審査要綱等に従い、自己の信念に基づき評価しなければならない。 2 研究者は、他者の業績評価に関して知り得た情報を不正に利用してはならない。当該業績に関する秘密は、これを他人に洩らしてはならない。

日本比較文化学会の責務

第13条 本学会は、研究者の研究倫理意識を高揚するために、啓発のために必要な諸計画を策定し、実施するものとする。 2 本学会は、この規準の運用を実効あるものにするため、研究者の研究倫理に反する行 為に対しては、厳正な態度でもって適切な措置を講じるものとする。 3 本学会は、研究に関して不当または不公正な扱いを受けた者等からの苦情・相談等に対して、迅速、かつ、適切に対応するものとする。 4 前3項の目的を達成するため、日本比較文化学会研究倫理委員会を設置する。 5 日本比較文化学会研究倫理委員会に関する事項は別に定める。

改廃

第14条 この規準の改廃は、日本比較文化学会研究倫理委員会の議を経て、理事会において決定する。

附 則

この規準は、2007年2月17日から施行する。